副会長の受難の日 4

目指すトイレは目前だ。
あと少し…それまでもってくれ俺のチ○ポっ!
トイレのドアを勢いよく開けた俺はその瞬間目の前が真っ暗に…
丁度中から出て来た奴と正面衝突してしまったのだ。
ひっくり返りはしなかったものの、俺は廊下に思いっきり尻餅をつく羽目になってしまった。
ぶつかった相手は…というと、上手く衝撃をかわしたのか軽くよろめいただけでその場に立ち尽くしている。
「す、すまない…」と謝ろうと顔を上げた俺の目の前に立っていた人物は…

「由良…」
今迄何処を探しても見つからなかったのに、よりにもよってなんでこんなタイミングの悪い時に…
し、しかも尻餅をついたせいで俺の体勢は両足を大きく開いてまるで由良にビンビンの俺の股間を見せ付けるかのような格好だ…
「何だ武田か、びっくりしたぞ。もの凄い勢いで駆け込んでくるなんて。もしかしてお前も腹壊したのか?
もう俺は今日は散々だ。病み上がりで体調がイマイチだったのに昼メシを喰いすぎた…」
確かに今日の由良は学食でラーメンとカレーを食ってそれから購買でやきそばパンとおにぎりも食ってた。もちろん弁当持参の上でだ。
こんな細面の綺麗な顔をしてもの凄い大食いの由良。「久々に食うぞ!」とやたら張り切っていたが、まさかそれが原因でずっとトイレにいたとは…
「まぁなんとかすっきりしたから、もう大丈夫なんだがな…って…」
話をぴたっと止めた由良は俺の股間に言葉を失ったようだ…それはそうだろう…あまりの情けなさにいっそ萎えてしまえばいいものを、何故か益々ビンビンに硬くなってる…最悪だ…
「ゆ…由良…こ、これはそのつまりっ…」
まるでさっきの樹原のようにしどろもどろになってしまう俺。
しかし由良は最初は驚いていたようだったがすぐにいつもの態度に戻り言った。
「お前もすっきりした方がいいようだな。こんなところじゃなく、生徒会室に行こうか。どうやら今日は久木も樹原もいないようだしな」
なんであの二人のことを知っているのだろうか。訝しがる俺に由良はすぐに種明かしをしてくれた。
「さっき久木からメールが来た。ついに樹原の”筆おろし”らしいな」
ニヤリとする由良。
「さっきからお前も久木も一体何の事を言っているのだ?久木は樹原を書道部に入部させたいのか?」
さっきの告白劇を(見たくもないのに)見せられてしまった俺は、相思相愛が判明した二人がいつも一緒にいたいから…程度に考えていたのだが…
だが由良は俺の言葉に何故か笑いをこらえるように、黙って俺を立ち上がらせてくれ、そのまま俺達は生徒会室に向かった。

「お前が今のその状況に陥った経緯を聞かせてくれないか?」
生徒会室までの廊下を並んで(というか、もはや前屈み状態の俺を由良が支えてくれている状態だが…)
歩きながら由良は俺に聞く。
「……」
そんな話をするには抵抗があったが、しかし俺と由良の間に隠し事などしてはいけない。ありのままの俺を由良には知ってもらいたい。常々そう思っている俺は意を決してありのままを由良に話した。…と言っても俺が由良に対して如何わしい想像を働かせてしまったという事だけはさすがに伏せたが…
「…そうか…」
俺の話を一通り聞いた由良は感慨深げに頷いた。
気がつくと、俺達は生徒会室に辿り着いていた。由良は俺をそのまま奥の、元々は教師の宿直室だった部屋まで連れて行ってくれ、(何故だか用途もないのに)置いてあった布団を敷いてくれた。
「由良…俺は別に病気ではないのだが…」
一発抜けば済むことで、しかも独りになりたいのに由良は俺の傍にずっといる。
微妙に気まずいのだが…

「武田…”筆おろし”の意味を教えてやろうか?」
その微妙な空気を先に由良が打ち破った。
そう言うと由良はおもむろに俺のズボンのベルトを外しにかかりだした。
「なっ、何をするのだ!由良っ!」
下着まで脱がされ解放された俺のチ○ポはピンと天に向かって勃ち上がる。
あまりのことにまたまた俺の頭は真っ白になりかけるが…
「武田は…こういいうこと初めてだよな?」
由良の問いにさっき屋上で氷尾に言われたことを思い出す。
『武田、お前童貞だろ?』
氷尾の言い方はいかにも俺を小バカにしたような感じだったが由良のそれはどこか違う。
そう、まるで俺が「童貞であって欲しい」と切に願うような、そんな感じの問いかけだ。
そんな風に問いかけられると俺も素直に頷いてしまう。
俺の頷きに満足したように由良は微笑み、そしてその顔を俺の顔に近づけて…

今の俺はさっきの樹原と全く同じ状況だ。
由良の唇が俺の唇と重なり、そして由良の舌が俺の口の中を掻き回して…
さっき久木と樹原のキスシーンを見ながら俺が重ね合わせた妄想の情景が現実になったのだ!
これは夢なのか?身体を抓ってみようとしたが、張り詰めた股間の痛みで現実だと認識できた。
「…ゅふ…ぁ…」
由良の名を読んだつもりがなんだか悩ましい変な響きになってしまった。
夢見心地の気分になってくる。樹原もきっとこんな気持ちだったのだろうな…至福の時とはまさにこの状態のことを言うのだろう。
氷尾と桐生もこんな気持ちで唇を重ねているのだろうか?何を考えているのか全く掴めない連中だが、少しは奴等のことを理解できそうな気にまでなってきた。

長いキスを終え、由良の唇が俺の唇から離れた。由良の唇と俺の唇を結ぶように唾液が糸を引く、まるで名残惜しむかのように。
余韻を確かめるように俺は自分の唇を指でなぞってみた。さっきまで重なっていた由良の唇の感触を思い出しながら。
俺がそんな余韻に浸っている間に由良は横の棚の引き出しを開け何かのビンを取り出した。
そのビンをじっと見つめ由良は何かを決心したように独り頷いている。
そしておもむろに俺の方に顔を向け、凛々しくこう言った。

「武田、お前の童貞は俺が貰うぞ」

覚悟を決めた由良の行動は素早かった。そそくさと下着を脱ぎ、そのビンの中の液体を手にとり己の尻の穴に塗りたくっている。
昨日までの俺はその由良の行為が理解できなかっただろうが、さっき屋上で無理矢理見せ付けられた氷尾と桐生の一部始終の行為のおかげで由良が何をしているのかは判る。
と、いうことは…このあとに起こりうる出来事は…由良のその尻の間に…俺の…が…ぁ…っ…
またもや俺が、氷尾と桐生のSEXを見させられながら妄想していた事が現実に!?
心臓が激しく脈打ち、ついでに股間のブツも脈打っているようだ。もう爆発寸前ダッ!!

「武田、まだイクな。もう少し我慢しろ」
妙に冷静に由良が俺をたしなめる。なんだか変な気分だが由良の言う事は尤もだ。
ここで俺が先にイってしまったらすべてが台無しになる。
グッとこらえて俺は由良の傍に行こうとしたのだが、
「武田、動かなくていい。そのままじっとしていろ」
また由良が俺の行動にストップをかける。
だが、微妙に違わないか?この状況。例えたくないが、氷尾と桐生に例えるなら由良が桐生で俺が氷尾だろう。
さっきの二人はどう見ても氷尾が桐生をリードしていた。
だがしかし今の俺の状況は…とか考えていたら由良が俺の上に覆い被さってきて、俺の股間に跨るような体勢を整えだした。
もはやガチガチになっている俺のチ○ポの先っちょに由良の尻の穴があたる。
「は、入るのか?」
なんとも間抜けな質問だなと自分でも思う。しかし俺の心配をよそに由良の穴は俺のをゆっくりとしかし確実に挿入させているではないか。
「武田、準備はいいか?」
俺の腹の上で由良が尋ねる。あぁその姿、なんという凛々しさだろう。男とか女とかそういった性別など超越した美しさ。俺は今、そんな彼をついに抱くことになるのだ…(とは言うものの実際は俺はマグロのように寝そべっているだけなのだが…)
とにかく俺は心の準備を整え由良に向かって頷いた。
由良も頷き深く深呼吸をし、そして一気に腰を下ろした。

ズズッと狭い穴に俺のチ○ポが入っていく。キツク締め付ける刺激に…
浸る間もなく俺は……イってしまった……

……早すぎる……
童貞喪失の余韻もへったくれもないではないか…
呆然とする俺から由良はそっと身体を離し中に出してしまった俺のザーメンの始末をしている。
本来なら俺も手伝うべきなのだろうが、あまりのショックにその光景をただ見ているしかなかった。

「武田、大丈夫か?」
ハッと我に返ると、由良が心配そうに俺を見ている。
普通は逆だろう…由良の方が身体の負担は大きいはずだ。俺は益々自分が情けなくなってきた。
「…すまない…由良…」
今日何度目の「すまない」だろう…だか、この「すまない」が一番「すまない」と思う「すまない」だ。
「謝ることなど何もないぞ?武田。俺はお前の童貞を貰えたんだ。こんな嬉しいことはないぞ」
「由良…」
由良の慰めに俺は思わず涙ぐみそうになったが、いかん、そんなのは俺の柄ではない。
俺は必死に唇を噛み締めた。
そんな俺の肩をポンポンと軽く叩きながら由良は言葉を続けた。
「武田の童貞をいただいた、そして次は…」
…え?次?次に何をしようというのだ、由良よ…

「お前の処女もいだだこう」
そう言って由良は悠然と微笑んだ。



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