副会長の受難の日 1

月曜日。
遅刻常習犯の2年生、樹原。今日もギリギリに校門に駆け込んできた。
「えぇ!今日は副会長が風紀当番なんすか!?」
駆け込んだ時間がギリギリセーフだと主張する樹原。
しかし俺の時計では確実に30秒の遅刻だ。
「たまには大目に見てくださいよぉ〜副会長っ!」
「駄目だ。遅刻は遅刻だ。お前はもう今月に入って10回目だな。」
生徒会規則第23条で、1ヶ月に10回遅刻をすると向こう一週間生徒会の仕事(というか雑用)をボランティアとして手伝わせることになっている。
俺が生徒会副会長になってからこの樹原が”ボランティア”をしなかった月は無い。
それゆえに生徒会のメンバーはすっかりこの樹原が生徒会に出入りしていることに慣れっこになってしまっている。
人懐っこい樹原の性格は、他のメンバーにも可愛がられているし、正直俺も、ついつい情が入ってしまいそうになる。
しかし規則は規則だ。
「樹原。今日の放課後、生徒会室に来るように」
「ひでぇ〜鬼副会長!」散々文句をいう樹原から生徒手帳を没収して俺は、校舎に戻った。

放課後。
俺が生徒会室に行くとまだ他の面々は来ていないようだ。
生徒会書記を務める久木はおそらく書道部の方に顔をだしているのだろう。
そして会長の由良。
この二人とは俺がこの学校に入学したときからすぐに意気投合しお互い様々な面を刺激しあい学校生活を送ってきた。
俺たち三人は2年の時からすでに生徒会会長・副会長・書記に就任し、生徒会及び校内を取り纏めてきた。
特に由良の、カリスマ性は賞賛に値すると俺は常々思っている。
一見優男なたおやかな容姿に油断させられると痛い目に会う。その中に隠された漢気に何人もの生徒が屈服し従う。
それを俺はいつも尊敬の眼差しで見つめ、そして己も彼のようになりたいと日々自己鍛錬の日々を送っている。

「ちわ〜。2-4の樹原っス。生徒手帳返してもらいにきましたぁ〜」
すっかり常連顔で樹原がやって来た。
「生徒手帳は先生から由良が受け取っているはずだ。ちょっと由良を探してくるから、お前はとりあえず生徒会室の掃除をしておけ」
そう樹原に言い俺は生徒会室を出た。

もしかしてまだ身体が本調子ではないのか…?
先週一週間由良は風邪をこじらせ学校を休んでいた。今日、久々に登校してきた由良はすっかり風邪も治り元気そうだったが、すこし無理をしていたのだろうか?
心配になった俺はまず保健室に足を運んだ。

「失礼します。3年3組武田ですが、同じクラスの由良がこちらに来ていませんか?」
そう言って保健室のドアをあけたが、保健教諭の花岡は不在のようだった。
居ないのか…と保健室を出ようとした俺だったが、ふと奥のベッドからなにか苦しそうな声が聞こえた。
花岡が居ないのに具合が悪くなった奴がいるのか、気の毒に思った俺は奥のベッドのカーテンを開けた。
「具合悪そうですが、大丈夫ですか?」と、言うつもりだった。しかし、その言葉は声にはならなかった、なぜなら…
俺の目の前に横たわっているのは体育教師の酒井。しかも、その姿が俺の想像外の姿だったのだ。

両手をベッドの端に括りつけられ、下半身は剥き出し…しかもその尻の穴には何かグロテスクなものが突っ込まれていて…
さらに驚いたのはそんな状態で酒井のチ●ポがビンビンに勃っていて…

俺と目があった酒井は一瞬ギョッとした顔をして「うぅ…ぅう…」とくぐもった声を上げ続けている。(酒井の口にはガーゼが詰め込まれていた)
俺は一体この状況に対してどうすればいいのだ…目の前の異様な光景に躊躇していると、
「あれぇ?保健室のドア開いてるよぉ、顕太クン〜」
「えぇ花岡ちゃんもう戻って来たのかよ、早過ぎ」
のんびりとした声が二人分聞こえてきた。

「花岡センセ…って居ないじゃん…」
「ってことは誰か入ってきてるの?顕太クンそれってまずいんじゃ…」
「…いや大丈夫、いざとなったら俺がなんとかするから、嗣朗クンは安心して」
少し緊張気味の二人の声が段々近付いてくる。そして…
「…あ…」
俺の顔をみて二人はすこしバツの悪そうな顔をしたがすぐにニッコリと愛想笑いをした。
「武田君、どうしたの?なんか君って保健室って全然縁がなさそうだったんだけど。意外だな〜」
からかうように言うのは、同じクラスの松居だ。一緒に居るのは隣りのクラスの棗(なつめ)…だったか、たしか松居とは同じ部活でしょっちゅうウチのクラスの出入りしているから顔は覚えている。
「…松居…お前たちは、この状況に関係があるのか?」俺はそういいながらベッドに横たわる酒井を指差した。

松居と棗は俺の言葉にお互い顔を見合わせている。どう説明しようか目と目で相談しているようだ。
程なく松居が悪びれた様子もなく語り出した。
「コイツ、俺たちの”オモチャ”なんだ。俺たちがコイツをどう扱ってもコイツは文句言えない。ってか、ぶっちゃけコイツも悦んでるんだけどね」
「武田クンも見る?面白いよぉ」そういって棗が何か派手な色のリモコンを手にして、そのスイッチをMAXまで一気に上げた。
「うぐぅ…ぅぅう…うぅ…」急激なモーター音と共に酒井の身体がビクンビクンと痙攣したように烈しく動き、酒井のチ●ポからはピュピュッと白い濁液が勢いよく飛び出す。同時に酒井は気を遣ったのかガックリと目を閉じて動かなくなった。

俺はあまりのことに放心状態になってしまったが、ハッと我に返り松居と棗を見やる。
「とにかくこれは同意ってことで、他のセンセには内緒にしてよ、生徒会副会長サマ」わざとらしく媚びるような上目遣いで松居が両手を合わす。
「そうだ!武田クンにも気持ちイイことしてあげるよ!それでお互いこの件はナイショってことでイイよね?」
「お、お前たち何を言って…」棗の突拍子も無い提案に俺は思わず後ずさりする。冗談じゃない。俺はこんな酒井のように尻に変なもの突っ込まれて勃つような変態じゃない!
俺の動揺を見透かしたように松居がニヤリと笑う。
「大丈夫、コイツにしてるみたいなマネはしないよ。お堅い副会長サマには刺激が強すぎるだろうしね、ヌルーいので我慢してもらうから」
「じゃ、早速っ!」「なっ…何を」
油断した隙に俺のズボン下着もろともは棗に引きずり降ろされて一気に下半身が涼しくなる。
「まずは俺から!」そう言って棗は俺のチ●ポを片手で包み、ゆっくりと揉みだした。
「やっ、やめろっ!何をするんだっ!」必死で抵抗するものの、生まれて初めて他人に触られた俺のチ●ポ。棗の手付きが手馴れてるせいか妙に気持ちがいい…ってそんなこと言ってる場合ではない!
腰の力が次第に抜けてきて息が荒くなってくる…まずい…このままでは俺は…
「大分堅くなってきたねぇ…じゃそろそろ選手交代」
松居の言葉に棗は俺を扱いていた手を離し、「バトンターッチ!」と言いながら松居と手をパチンと合わす。
「それじゃ一気に昇らせてあげるからね、副会長サマ」
ニッと笑った松居は俺の前に膝まつき、こともあろうか俺のチ●ポを口に銜えてしまった。
「こっこら、そんなこと…する…なっ…」もはや俺の抵抗は口先だけになってしまった。松居の舌はまるで俺の感じやすいところを最初から知っているのではないかと思うくらいに弱いところを攻める。鈴口から裏筋を辿って、俺の陰嚢まで松居の舌が這ってきた。先ほどの棗の愛撫で散々熱くなってしまった俺はもう限界寸前。松居が俺のチ●ポを軽く噛んだのがスイッチとなってしまい、俺はついに松居の口の中に自分の絶頂を吐き出してしまった…

「す、すまない…」いくら強制的とはいえ、松居の口の中に精液を吐き出してしまった俺はとにかく謝るしかなかった。
が、松居は別段気にした風も無く、さっさと保健室の洗面台で口を濯いでいる。
「はい顕太クン。お口直し」そんな松居の口に棗がチョコを放り込む。
そんな光景を見た俺はちょっと微妙な気持ちになってしまう…

「じゃ、そういうことで…」棗に貰ったチョコを頬張りながら松居が俺に向かって言う。
「これでお互いこの件は忘れようぜ、副会長サマ」
ずり降ろされた下着とズボンを穿き直しながら俺は二人を軽く睨んで保健室を出た。
言いたいことは山ほどあったが、言葉にできないほど俺の頭の中は混乱していた。

とりあえず忘れよう。そう、犬に噛まれた、そう思えばいいのだ…

自分に言い聞かせるように廊下を歩く。そうだ、俺は由良を探しているんだ。肝心な事を思い出し、俺はなんとか今の出来事を記憶の外に追いやった。由良は…何処だ…?
…もしかしたら、屋上かもしれない。あいつがしょっちゅう屋上で空を見ているのを俺は見たことがある。
最初から屋上に行けばこんなことには巻き込まれなかった…そんな考えがふと頭を掠めたが、とりあえず今はその記憶自体を脳から追い出すように俺は軽く頭を振った。

昼休みには弁当を食べにここに来る生徒も多いが、放課後の屋上は人もまばらだった。
俺は由良の姿を探す。しかしここにもいないようだ…屋上を後にしようとした俺だったが、タバコの煙が俺の足を止める。
教師もたまに息抜きにこの屋上で喫煙しているが、たまに生徒の喫煙に出くわす事もある。そうなれば生徒会としては放ってはおけない。
煙の流れてくる方角は屋上のボイラーの影…ますます怪しい…俺は一目散にそちらにズンズンと足を進めた。

「…またお前か…氷尾…」
そこに居たのは俺の予想通り。我がクラスの一番の問題児・氷尾だった。
俺に見つかっても氷尾は何ら取り乱す事もなく、涼しい顔でタバコをふかしている。
「おい!氷尾!聞いているのか!?喫煙は…」
「そうお堅い事ばっか言いなさんなって、副会長サンよ」俺の言葉を遮るように氷尾がすうっと煙を吐き出す。バカにされたような気になった俺は思わずムッとして氷尾の胸倉を掴みかかった…その時

「大変申し訳ありませんが、今いろいろ取り込み中なので、氷尾君とのお話合いは、後にしていただけませんか?武田生徒会副会長」
淡々とした言葉で俺を制止した声の主は、桐生。常時学年TOPクラスの成績を残すこの秀才を知らぬものなど居ない。
冷静に俺をたしなめる桐生のその手には、氷尾と同じ銘柄のタバコ。
氷尾は掴みかかったままの俺の腕を無言で放し、黙って桐生の元に歩み寄る。そしてポケットからライターを出す。
桐生も黙ってタバコを口に銜え、氷尾の差し出したライターの火にタバコを近づけた。

俺は呆気にとられてその情景を見ていた。


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