heaven (6)

兄の置忘れの携帯を睨み付けながらコウヘイはイライラとタカヒロの帰宅を待っていた。
まさか”あの”ミキオと逢っていたなんて…
コウヘイはタカヒロに対する歪んだ独占欲と愛情から、タカヒロの「調教」をミキオに依頼した。
「調教完了」後、ミキオはタカヒロをコウヘイに引き渡し、それから彼とはほぼ音信不通のまま7年余りが過ぎた。
当然タカヒロもミキオとは音信不通だったはずだ。同じ大学だったとはいえ、それまでは全く面識もなかったようだし、何よりあんなことをされた相手にプライドの高いタカヒロが関わり続けるはずがないと思っていた。
それなのに何故今更…
イライラを鎮めるためにコウヘイはまた酒を流し込む。それでもタカヒロとミキオの間に何があったのか、疑問と不信は消えない。
不慮の事故で亡くなってしまった両親の保険金をもとに二人で会社を興し、それも軌道に乗ってきた。
それに伴いタカヒロに対する独占欲は年を経るごとに強くなってきて、貞操帯でタカヒロを管理し、最近はタカヒロが他の男と親しげに話すのを見ただけで嫉妬心にかられその度に「お仕置き」と称しタカヒロを辱め屈服させた。
最初のころは抵抗していたタカヒロも次第に黙ってコウヘイの責めに耐え続けている。
本当はこんなことをしたいわけではないのに…それなのにタカヒロが苦痛に耐える姿を見るとそそられる自分。
そんな自分にに半ば軽蔑を覚えながらも二人の関係は続いている。
しかし、今ミキオの出現で二人の関係はどうなってしまうのか…
不安がよぎる中、玄関のドア開く音が聞こえた。

「随分遅いじゃなぇか…」
無言のままのタカヒロの背中にコウヘイは言葉を投げつけた。
「…理由は分かっているだろ?」
そう一言だけ言ってタカヒロはズボンをおろし、コウヘイの前に跪く。
毎日の儀式のようなものだ。貞操帯の鍵を外してもらうため、タカヒロは毎晩コウヘイのモノをしゃぶる。
しかしコウヘイのズボンのチャックをおろそうとするタカヒロの手を留め、コウヘイは意地悪く言い放った。
「もちろん分かってるさ。だから、これからどうなるかも逆に分かるだろ?」

タカヒロを身ぐるみ剥がし、貞操帯だけの姿にして後ろ手に括る。
そしてまるで罪人を引っ張るように浴室に連れていく。
浴室のドアを開けた途端タカヒロの顔が一瞬引きつったのが分かる。それは、そこに置かれている「お仕置き道具」を見たからだろう。
タカヒロが受ける責めの中でもっとも嫌がる「浣腸」をコウヘイは準備していたのだ。
「じゃ、外してやるよ」
揶揄うようにコウヘイはタカヒロの貞操帯の鍵を外す。やっと解放されたタカヒロのソレは少しだけ堅くなっているようだ。ミキオとの間にあったことを想像しコウヘイは更にイライラが募る。
「ほら、さっさと準備しな」
苛立ちながらタカヒロの肩を軽く押すと、タカヒロは黙ってグリセリンの入った容器のそばに膝をつき尻を突き上げ浣腸を受け入れる準備をする。
「それでは本日のお仕置きはじめまーす」
冗談交じりに言い、コウヘイは浣腸器にたっぷりと入れたグリセリンをタカヒロの後孔に突き刺す。ゆっくりと注ぎ込まれる浣腸液。辛さに耐えられず小さく呻くタカヒロ。
1回目、2回目と注入すると、タカヒロの下腹部はかなり膨らんでいて、辛そうな呻き声も次第に大きくなっている。
「…も…もう…無理…」辛そうに訴えるタカヒロの声を聞き流し、「これでラストだから、もうちょっとの辛抱だって」そう言ってコウヘイは3回目の注入を試み、そして最後に後孔に栓をする。
苦痛に耐えるタカヒロをゴロリと横に転がすと膨らんだ腹が細い身体とミスマッチに目立つ。
「じゃ、俺ちょっと一服してくるから、その間頑張っててや」
そう言ってコウヘイは浴室を後にしてタバコを吸いに部屋に戻った。

タバコを吸いながらコウヘイはタカヒロの首筋についている赤い跡について考えていた。あれは多分ミキオにつけられたキスマーク…
「クソッ…」苛立ちながらタバコを消し、コウヘイは再び浴室に向かった。

浴室に戻ってみるとタカヒロは脂汗を浮かべながら肩で息をしていた。さらにその股間あたりをみると黄色い液体が広がっている。
「なんだよ、小便漏らしちまったのか?…たく、折角栓外してあげようと思ったのに、お漏らしなんかして…しょうがないなぁ、お仕置き追加かな」
コウヘイの言葉に今まで羞恥で顔を伏せていたタカヒロが絶望的な表情でコウヘイを見る。
「そんな顔すんなって、お仕置きっていったって大したことじゃないから。いつものことしてくれればいいんだって」
そう言ってコウヘイはズボンのチャックを下し自分のモノを取り出す。そういつものこと。
タカヒロは理解したようで、グルグルと音を立てる腹に刺激を与えないようにゆっくりと起き上がり這うようにコウヘイの側に来てソレを咥える。
便意に耐え、脂汗にまみれた顔で自分のモノをしゃぶるタカヒロの姿にいつも以上の興奮を覚え、コウヘイは普段より早く絶頂を迎えた。絶頂寸前、タカヒロの口から自らソレを引出しその絶頂をタカヒロの顔にめがけて発射した。
ザーメンまみれのタカヒロの顔は苦しげな表情と相まってとても扇情的だ。この表情が見たくて俺は…そんなことを考えていたコウヘイだったが、タカヒロの声で我に返る。
「…頼む…もう…我慢…できない…」
腹の音はますます激しくなっている。確かにもう限界のようだ。
「わかったよ、じゃ栓外してやるからトイレまで歩いて」
ヨロヨロと立ち上がるタカヒロを支えながら、浴室からトイレに向かって二人は進んだ。が、しかし便座に辿り着く直前にコウヘイは便座に座りこんだ。
「コウヘイ?」
ようやく苦しみから解放されると思ったタカヒロはコウヘイの突然の行為に驚きと怒りの入り混じった表情で睨み付ける。
「なんだよその顔は。俺はクソすんなって言ってるわけじゃないぜ。ただ、便器じゃなくてソコでしてもらうだけだから」
コウヘイが指差したのはさっきまでグリセリン液が入っていた容器。浣腸を施した後、これをトイレの入り口に持ってきておいたのだった。
「元々そこに入っていたんだから、元の場所に戻してよ」
わざとヘラヘラとした口調のコウヘイの言葉に唇をかみしめながら睨み付けるタカヒロ。しかし、ここで抵抗しても無駄だと長年の経験で判っているタカヒロは黙ってコウヘイに尻を突出す。
「さすが兄貴は物分りいいよね、じゃ抜くから漏らすんじゃないぞ。俺にクソなんてかけないでくれよな」
コウヘイの言葉に後ろ手に括られたタカヒロの手が屈辱でギュッと固く握られる。こちらからは見えないタカヒロの表情はどんなになっているだろう、想像するだけでコウヘイは興奮を覚える。
栓を抜くまでタカヒロは必死に溢れ出そうになる汚物をこらえていた。ゆっくりと栓を抜いてやると広がった後孔から僅かに液が流れてきたが、タカヒロは急いで容器に跨った。 跨るとほぼ同時に音をたてせき止められていた汚物が容器の中に流れ落ちる。
「…う…んっ…」苦悶の表情で排泄をするタカヒロの表情をうっとりと眺めていると、ふと首筋の赤い跡が目に入る。折角の気分が台無しになりそうなのでコウヘイはそこから目をそらしタカヒロの顔だけをじっと見つめていた。

ようやく腹の中の排泄物を全部吐き出したタカヒロは力尽きたように膝をついた。コウヘイも立ち上がり、俯くタカヒロの顎をつかんで持ち上げる。
「随分汚れちまって抱く気にもなれねぇな。しょうがねぇ、洗ってやるよ」
そう言って浴室に戻りコウヘイはタカヒロの身体をシャワーで丁寧に洗った。拘束はまだ解いていないためかタカヒロはずっと無言のままだ。
そんなタカヒロの後孔に石鹸にまみれた指を入れる。小さく喘ぎながらタカヒロはコウヘイを受け入れる準備を始める。タカヒロの屈辱的な排泄と表情を見続けて既に堅くなっていたコウヘイのモノはそのままタカヒロの中に入っていった。
ぶつかり合う肉の音と二人の喘ぎ声だけが浴室に響き渡る。バックで攻めていたコウヘイだったが、やはりタカヒロの表情を見たいと思い、身体をこちらに向けさせる。
「…コウ…ヘイ…アイツ…とは…っ…何も…なか…った…ぁ…信…じ…」
快楽に喘ぎながらタカヒロは今更の言い訳を始めた。
じゃ、なんで今まで黙って責めを受け入れていたんだ?
最初から話し合いすれば…いや、あの状態の自分ではタカヒロの話を聞く冷静さはなかった…から?
でも完全に何もなかったとは言えないだろう?
コウヘイの目にまたタカヒロの首筋の赤い跡が飛び込んできた。苛立ちと怒りがまた沸き起こる。
「じゃ…これは何なんだよ!」
怒りにまかせてコウヘイはタカヒロの首筋をつかむ。しかし、タカヒロはそれには答えず黙って首を横に振るだけ。
「ちゃんと説明しろよ!」
コウヘイはまだ抜けぬ酔いも手伝って怒りにまかせてタカヒロの首を絞めていた…

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