heaven (3)

夏休みになった。
コウヘイは休みに入ると頻繁に例の彼女を家に連れて来ている。
それを見るのが辛かったせいもあるし、何より弱味を握られている。
だからタカヒロはミキオに従いこうして彼の別荘だというこの場所までやって来たのだった。
コウヘイには「夏休みいっぱい卒論の為にずっと泊り込む」と適当な理由をつけて家を出てきた。
彼女に夢中なコウヘイはむしろ夏休みの間中、自分一人で家に居られるということの方が嬉しいようだった。
その態度にタカヒロは寂しさと悲しさと嫉妬が入り混じった複雑な感情を溢れさせていた。

「俺と一緒だって言わなかったのか?」
車を運転しながらミキオがタカヒロに訊ねる。
「ああ。色々と面倒な事になっても困るしな…」
「ていうか、別に俺と一緒とか言ってもアイツきっとアンタの話半分も聞いてくれてないよ。多分。
だってアイツあの女とヤリまくることしか今頭にないもんな」
わざとタカヒロの神経を逆撫でするようなミキオの物言いにもタカヒロは黙って口を閉ざしたまま、ミキオもそれ以上は何も言わず沈黙が支配する中、車は目的地に辿り着いた。

周りに他に建物もなくポツンと建っているその別荘はかなり古い作りではあったが、手入れが行き届いているようで中に入ると部屋は小奇麗に片付けられている。
「それじゃ早速だけど、服脱げよ」
「…なっ…」
いきなりの命令にタカヒロは怒りを露わにミキオを睨みつけた。
「そう怖い顔すんなよ。どうせここにいる間はアンタ俺の便所みたいなもんなんだから、服いちいち脱がすのもメンドクサイんだよ。それに、洗濯する手間省けるからアンタも楽だよ?ここでの家事全部やってもらうんだからさ」
怒っているタカヒロの反応をさらに楽しむようにして話すミキオ。
これ以上何を言ってもミキオを楽しませるだけだ…諦めたタカヒロは黙って言われたとおりに服を脱ぎだした。

「それじゃ、到着記念に早速一発やるか」
ミキオが奥にある寝室へと足を進める、タカヒロも仕方なくその後に従う。
ベッドの上に転がされたタカヒロはそこで目隠しをされる。
ミキオがタカヒロを初めて抱いた時からずっと、何故かいつも目隠しをされる。
それがどういう意図なのかはわからないが、見えない中で犯されている間、タカヒロはずっとコウヘイの事を思い自分はコウヘイに抱かれているのだと思い込むようにしていた。
そうでもしなければ自分が惨めで壊れそうだったから。

乱暴に足を開かれ、潤滑油を塗られた秘部にいつものようにバイブが捻り込まれる。スイッチが入れられバイブがタカヒロの身体の中で動き出す。
「…くぅ…あ…っぅ…」
バイブの振動でもがき喘ぐタカヒロの姿を暫らく楽しんでからミキオはタカヒロの中に挿入する。
初めの頃はバイブを引き抜かれてからの挿入だったのだが、最近は抜かれることなく挿入される。
「大分広がるようになったよな、アンタのココ」
指でタカヒロの秘部をグッと広げながらミキオは言い、そして自分のモノを強引に捩じ込んでくる。
「ひぃ…い…た…いっ…」
いつものように襲ってくる引き裂かれそうな痛みにタカヒロは目隠しで塞がれたままの目を閉じた。

一週間くらい経ったのだろうか
最初の内こそ、雑用をさせられていたタカヒロであったが、今は日中はほとんど寝室のベッドに伏せている。
夜の疲れが昼間に出て、ほとんど動くことが出来ないタカヒロには、どこかに逃げようという気力も体力も無かった。
そもそもここが何処なのか判らない。車に乗せられて途中までは見当がついたが、次第に山の奥に入っていった先の別荘。
別荘を持っているということは、ミキオの家は相当な金持ちなのだろうか、人のことを「お坊ちゃん」呼ばわりしていたくせに実は自分の方こそ「お坊ちゃん」ではないか…
でも、そんな金持ちの坊ちゃんが何故バイトなんか…お坊ちゃまの社会勉強か…
ベッドの中でとりとめのない事を考えながらタカヒロはベッドに身体を埋めた。
ミキオの自分への理不尽な扱いはもちろん耐え難いものだが、それでもその間は夏休みを満喫しているであろうコウヘイ達の事を考える余裕すらなく、そのことに対する苛立ちと嫉妬も忘れられた。

「さーてと、今日は何入れようかな〜」
腹立たしいほどの呑気な口調でミキオはタカヒロに目隠しをする。
「大分大きなモン入るようになったなぁ、開発し甲斐があるってもんだ」
ミキオのタカヒロへの”開発”は日々激しくなってきている。身体の奥に入れられるモノも、日を増すごとに大きく太いものになってきていた。
目隠しをされているため、実際の大きさを目で確認する事はできないが、中に埋められたままミキオのモノをしゃぶらされている時はイヤでもその大きさを身体で知ることになる。

「じゃ、そろそろ大物行きますか」
揶揄るような口調でミキオはタカヒロの両手を広げてそれぞれをベッドの端に括りつけ固定した。同様に両足も固定され、タカヒロはベッドに大の字になる格好にされてしまった。
「…おい…一体何するつもりだ…」
不安に怯えながらもそれを何とか隠してタカヒロはミキオに訊ねたが、ミキオはそれには答えず、鼻歌混じりにいつものようにタカヒロの秘部に潤滑油を塗りたくり、指でソコを慣らし始めた。
「…んっ……くっ…っ…」
ミキオの指はぐちゅぐちゅとタカヒロの中を掻き回す。不安な気分とは裏腹に身体はイヤでも反応する。
「や…はぁ…っ…」
いつも以上にミキオの指はしつこく動き続ける。入れられた指はいつのまにか2本になっているようだ。
「…さて次は3本目」
程なく3本目の指が入れられ、そして4本目の指もタカヒロの中に入り込んだ。
「ほんと、指4本軽々入るようになったよな、じゃ、お次は…」
「ひっ…」
ミキオの言葉が終わらないうちにタカヒロの入り口がグッと広げられ、大きな塊が奥を押し入って来た。
「や…やめて…くれ…」
不自由な身体を必死に捻りながらタカヒロは哀願した。自分の奥に入り込もうとしているのはミキオの…拳…
そんなモノを入れられたら自分の中は壊れてしまう…タカヒロの不安は恐怖へと摩り替わった。
「すげぇな、俺の腕こんなに飲み込んで。アンタのココってホントいやしいなぁ〜」
だが、そんな訴えをミキオが訊いてくれるはずもなく、ミキオの拳、いや腕はどんどんと中へ進む。
「…か…は…っ…」
タカヒロは恐怖と衝撃で息が止まりそうになり、目隠しに涙が滲んでくる。
そんなタカヒロの様子を見取ったのか、ミキオはようやく腕の挿入をやめ、ゆっくりと引き抜いた。
足の拘束も外され、ミキオの手によって両足が持ち上げられる。そして息をつく間もなく広げられ尽くした孔にミキオのモノが挿入された。
「う〜ん、ちょっと広げすぎちゃったかな…じゃ今度は少し締めますか…」
独り言のようなミキオの言葉が途切れると、ミキオの指がタカヒロの首筋に触れた。
さっきまでタカヒロの中を蹂躙していたその指は次にはタカヒロの首をグッと締め付けだした。
「な…っ……」
強い力で首を締めらる。恐怖が今まで以上にタカヒロを襲う。
息が苦しい、気が遠くなりそうだ…
「おっ、やっぱりギュッと締まってきた。締まり具合丁度いいな」
目隠しの先に居る男は一体どんな顔をして自分の首を締めているのだ。
自分はこの男に何故ここまでされなければならないのか…ミキオに対する憎しみよりも、そんな自分への憐憫がタカヒロの中に込み上げていた。
意識が無くなりかけ、もう殺されるのかと思った一歩手前、首から指が離された。
反動で咳き込むタカヒロの、その弄ばされた孔からはミキオの絶頂の証がドロリと流れ出ていた。

「もうそろそろ調教完了かな」
そんなミキオの呟くような言葉は、再び意識を手放しつつあるタカヒロの耳には届いていなかった。

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