heaven (2)

3日後…
繁華街の奥まったところにあるアダルトショップにタカヒロはいた。
複雑な面持ちで1本のバイブレータとローションを手に取りレジに行き、そして逃げるように店を出た後、タカヒロの足は家とは反対方向へと向かう。

「ちゃんと買ってきたか?」
ミキオの言葉にタカヒロは黙って袋を差し出す。
それを受け取ったミキオは買ってきたものを検分するかのように取り出し確かめる。
「ふーん、まあまあの太さだな。アンタてっきり細いの買って来るのかと思ったけど、意外とスキモノなんだな」
そう言ってミキオはバイブをポンとタカヒロに投げ渡す。
「…どうせこの位のモノを買ってこないとお前はご不満なんだろう?」
ミキオの嫌味な物言いにタカヒロは思わず言い返すが、そんなタカヒロの言葉を嘲笑うようにミキオはとぼけた調子で言った。
「俺は別に不満なんて言わないよ。言っただろ?『アンタが自分で入れたい太さのを買って来い』ってさ」
ミキオの言葉にまた反論しようと口を開きかけたタカヒロだったが、何を言おうが自分が惨めなことに変わりはないと悟り口を閉ざした。
そんなタカヒロの様子をニヤリと見ながら、ミキオは更に言葉を続けた。
「それじゃ入れて見せろよ、自分で」
その言葉にピクッと小さく身体を震わせながら、タカヒロはミキオの目の前で服を脱ぎ出した。それからローションでバイブを濡らす。
そのローションに塗れたバイブを入れるために自分で自分の後孔を解す。ある程度解れた来たところで、バイブの先端を孔に押し当て挿入を試みる。
しかし、普段使い慣れていないソコは中々バイブを飲み込んではくれない。
しかも一連の行為をずっとミキオに見られているという羞恥も手伝ってタカヒロの手はますますもたつく。
「そんなに難しくないだろ?アンタが今迄の男にやってあげたようにすればいいだけなんだからさ」
自分はのんびりと缶ビールを片手にミキオが揶揄する。
「…俺は…こんなモノ…使ったことなど…無い…っ…」
「ふーん、そうなの。ま、どうでもいいけどそんなこと。ほらあともうちょっとだ頑張れよ」
タカヒロの言葉になどまるで興味なさげにミキオはバイブの挿入を催促する。
「…ん…く……っ…」息をゆっくりと吐き出しながらタカヒロはバイブを身体の中に埋め込んでいく。
異物が身体に入ってくる不快感を堪えながら、なんとかソレはタカヒロの中に全て収まった。

「ようやく準備完了か」
空になったビールの缶をポンとゴミ箱に投げ捨てミキオは立ち上がり、ベッドの上で蹲ったままのタカヒロの肩に手をかけ、ゴロリと転がす。そしてタカヒロに目隠しをする。
「ちゃんと入れたトコ俺に見えるようにしろよ」
クッと唇を噛み締めながらも言われたとおりにタカヒロはミキオに向かって脚を広げた。
目の前の光景に満足したようにミキオは一人頷き、埋め込まれたバイブへと繋がるリモコンを手にしてニヤッと嗤い言った。
「それじゃショータイムの始まり始まり〜」
ふざけた口調でミキオはリモコンのスイッチに手をかける。その瞬間タカヒロは覚悟したように目隠しの中で目を瞑った。
スイッチが入るのと同時にタカヒロの中で振動が始まった。
「…ひ…っ…」瞑ったままの目を更にキツク閉じてタカヒロはその振動に耐えようとしたが、それを嘲笑うかのようにミキオはリモコンのスイッチを「強」に切り換える。
「や…あぁ…っ…うぅ…もう…やめ…て」ついに堪えきれずにタカヒロは縋るようにミキオに哀願した。
「もう止めて欲しいのか?…って止めてやるわけねーだろが、まだアンタのココ全然じゃん」
そう言いながらミキオはタカヒロの中心をギュッと握る。
「いっ…」敏感になってきたソコに強い刺激が与えられて、タカヒロの中心は次第に堅くなりはじめ、じわりと汁が滲み出す。
「後は自分でやんな。アンタがイクまで止めてやらねーよ」
タカヒロ自身から手を離し、ミキオはベッドに腰掛けた。仕方なく、タカヒロは震える手で自分自身を握り、ゆっくりと扱きだす。
「はぁ…っ…んっ……っ」バイブの強い刺激で頭の中が真っ白になっていく。
ミキオに見られ続けているということすら忘れ、タカヒロはイクこと以外もう何も考えられなくなっていく。
「あ…ぁ…っ…」
その瞬間はもう何も無かった。ただ快楽だけが脳内を支配していてタカヒロの思考は完全に停止してしまったように意識が遠のいて行った。

「おい、いい加減に目醒ませよ」
軽く頬を叩かれてようやくタカヒロの意識が戻って来た。
「とっととそれ抜いて、身体洗って帰れよ」
面倒くさそうにミキオが顎で浴室の方を指す。タカヒロはよろよろと立ち上がりまだ異物を中に入れたまま浴室へと向かった。
その後姿に追い討ちをかけるようにミキオが声を掛ける。
「今日もアンタのイイ格好、バッチリ撮らせて貰ったから」
悔しさと恥ずかしさを堪え、タカヒロは振り向かずに浴室のドアを開ける。
ゆっくりと時間をかけ中の異物を取り出し、そして己の精液に塗れた身体を洗い流す。
タカヒロはミキオの奴隷という立場を嫌という程思い知らされ、シャワーを浴びながら自分の愚かさに自嘲した。

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