唯貴の食事が済んだ後はいつもそそくさと後片付けをすませ、出勤の準備をする祥一郎が今日は何故かのんびりとしている。
そんな時はつまり祥一郎の休日だ。
「ユキ、今日は仕事が休みだが、どうしてもしておかなければならない事が一つある、その間大人しく待っていられるかな?」
祥一郎の言葉に黙って唯貴は頷く。一日一杯祥一郎に独占されないのは寂しいけれど、そんな我儘を言えるわけも無い。
頷く唯貴に祥一郎は優しく髪を撫でながら言った。
「そうか、偉いねユキは。それじゃ今日は天気もいい。日光浴でもしながら私の仕事が終わるのを待っていなさい」
祥一郎の思いがけない言葉に唯貴は驚くが、そんな唯貴を祥一郎は立ち上がらせ部屋を出るように促す。
連れてこられたのは居間だった。
祥一郎一人で生活するには充分すぎるほど広いその部屋には大きな窓があり、そこから庭に出られるようになっている。
ソファーに座ることを許されるも、どうも落ち着かなく所在なげに唯貴は庭を見た。
大きな木が生えていて緑も多いその庭は、いつも2階の部屋の窓から見る景色とはまた違っていて新鮮な感じがした。
「ユキ、飲むかい?」
いつの間にか隣りに座っていた祥一郎がコーヒーの入ったカップを差し出す。遠慮がちに唯貴はそれを受け取りそれを飲んだ。
「欲しかったらまだあるから遠慮なく言いなさい」と、自分もカップを口に運びながら祥一郎が微笑んだ。
その笑顔が嬉しくて唯貴は祥一郎の言葉に甘え二杯目のコーヒーを頼んだ。

本当に今日はいい天気だ。外の空気を久し振りに吸い、土の感触を素足で感じながら唯貴は太陽の日差しを身体全体で浴びていた。
ただし、腕を一つに括られ庭の大きな木に吊るされた状態で。
拘束されているのは腕だけで足は自由ではあったが、祥一郎から足を揃え直立でいるように言われたので動かす事はできない。
「…ぅ…ふ……」
唯貴は小さく息を吐き出した。その口はボールギャグを銜えさせられているのでダラダラと唾液が滴り落ちて唯貴の口の周りは唾液まみれになっていた。
祥一郎は居間でパソコンに向かって仕事をしているようで、その姿は自分からも見える位置だったので
唯貴はじっと部屋の中の祥一郎を見つめ、仕事が早く終わるのを待っていた。

日が真上に来た頃、祥一郎が立ち上がりこちらに向かってきた。
やっと解放されるのだろうかと期待を込めて唯貴は祥一郎の姿を目で追い続けた。
早く解放されたい。腕も痺れて感覚が無くなってきた。直立不動のままの足も疲れている。
そして、何よりも切実な問題が唯貴を襲っていた。

「おまたせユキ。いい子にしていたようだね」
「…う…ふぅ…っ…」
祥一郎の言葉に唯貴は唾液まみれになってしまった顔を向け、必死に訴えるように不自由な口で声を出した。
直立不動を命じられた足がもじもじと小さく動く、そう、先程から我慢してきた尿意がもう限界に近付いているのだった。
「そんなに涎を流して、腰を捩って…ユキは随分浅ましいね」
唯貴の切羽詰った様子を十分承知の上で祥一郎は揶揄する。唯貴は首を横に振りながら更に必死に祥一郎に解放を願い続ける。
「おや?もしかしてユキは、おしっこがしたいのかな?」
「…う…ぅ…」
何度も頷く唯貴に祥一郎は言う。
「ユキ、知っているかい?コーヒーには利尿作用というものがあるんだよ」
いきなり何の話をしだすのかと唯貴は祥一郎を見る。
「調子にのって二杯も飲むからこんなことになるんだよ?反省しなさい」
あの時に飲んだコーヒーがこの事態を引き起こしているのだと祥一郎に指摘され、唯貴はガックリと顔を伏せた。
多分、祥一郎は「お仕置き」として唯貴を解放してくれないのだ。
このままここで垂れ流すしかないのだと判ってしまった唯貴だったが、誰も見ていないところならまだしも、
こうして祥一郎が見ている前で失禁してしまうのは耐えられなかった。
「ユキ。我慢するのは身体に毒だよ」
唯貴の葛藤を見透かすように祥一郎は言い、おもむろにポケットから何が取り出した。
それは…一本の太い筆だった。
「これはね羊毛と言って、羊の毛で作られた筆なんだよ、穂先が柔らかくで気持ちいいんだ、ほら」
そう言っていきなり祥一郎は筆の毛先で唯貴の脇をひと撫でした。
「ふぅ…っ…う…」
吊られたまま強張った身体が柔らかい毛に敏感に反応する。穂先は唯貴の身体中を撫で回った。
くすぐったいが、声を上げる事もできない唯貴はただひたすら身を捩る。
ただでさえ尿意を堪えて張り詰めている神経が、この筆による刺激で途切れそうになる。
「…ふ…ふぅ…う…」
穂先が唯貴の陰嚢の辺りを撫でた時、ついに張り詰めていた緊張が解けてしまった。
「う…」
ジャーと勢いのよい音を立て、唯貴の尿道から溜まりに溜まった尿が溢れ出す。
みるみる内に足元に水溜りを作っていく温かい液体。
そんな自分を見ている祥一郎の視線が辛くて、唯貴はその視線から逃れるように濡れた足元と水溜りから立ち上る湯気を見つめていた。

「おもらししてしまったね、ユキ」
祥一郎が筆の穂先で唯貴の分身を軽く叩きながら嗤う。
「粗相をしてしまったペットにはお仕置きが必要だな」
"お仕置き"という言葉に唯貴の全身が粟立つ。何をされるのかという不安と、同時に湧き上がる期待で。
「足を開きなさい」
祥一郎の命令に唯貴は直立不動のままだった脚を開いた。ぴったりと閉じられていた双丘も開く。
祥一郎は筆に持っていたオイルを振りかけて穂先を濡らし、その開いた双丘の中へと筆の穂先を差し込んでいく。
穂先によってゆっくりと唯貴の中が解されていく。ぐるぐると円を描くように筆は唯貴の奥の方に入り込んでくる。
奥からの感触はやがて唯貴の前への快感にすり替わっていく。
「うぅ…っ…ぅぅ…」押し寄せる快感に唯貴は顎をのけ反らせ声にならない声をあげる。
唯貴の先端は先走りの液が滲み出していた。
「ぅふ…ぅ…ぅ…」
唯貴は必死に身体を捩り祥一郎が動かす筆からの快楽を貪ろうとした。
しかし、筆がかなり奥まで入ってきたその時、突然その動きを止められてしまう。
「…こんなに喜んでいるようではちっともお仕置きにならないね、ユキ」
呆れたような、可笑しいような、そんな口調で祥一郎は呟き、唯貴の拘束を外しに掛かる。
やっと拘束から解放され、痺れた腕をゆっくりと下ろした唯貴に祥一郎は言った。
「部屋に戻って身体を拭いてあげるから、このまま自分で歩いて部屋に戻りなさい。もちろん後の物を落したらいけないよ」
「うぅ…」
まだ解放されていない口から唾液を流したまま唯貴は頷き、先を歩く祥一郎の後をゆっくりとついて歩く。
落さないように…と後孔をギュッと絞って歩いていると、普通の筆よりもかなり太いこの筆は、一歩歩く度に唯貴の中に鈍い刺激を与えてくる。
言葉が自由にならないもどかしさの中でその刺激に唯貴は小さくうめいた。

部屋に戻され身体を拭いてもらった唯貴は後ろ手に拘束し直され、ベッドの上で足を広げてしゃがみこむように命じられた。
油断をすると中の筆が落ちそうになるような姿勢なので慎重に後孔を締めながら唯貴は言われた通り祥一郎に後ろを向け姿勢を取った。
「偉いね、ちゃんと言い付けを守って筆を落さなかったねユキ」
祥一郎が唯貴を誉めながら、ベッドの傍に置いてある椅子を引き寄せ腰掛けた。
「それじゃご褒美をあげようかな。ユキも中途半端で辛いだろう?」
祥一郎の言葉に唯貴はおずおずと下を見る。唯貴の分身は中途半端な状態で勃立したままだった。
「イキたいかい?」祥一郎の問いかけに唯貴はコックリと頷く。
「じゃぁ、それを自分で出してご覧。そうしたらご褒美をあげよう」
その言葉に唯貴は振り返り祥一郎を見る。両手の自由が利かないこの状態で後孔に挿れられたモノを出す方法は…
「ううぅぅ…うぅ…」まだ自由にならない口で必死に訴えるように唯貴は首を横に振ったが、祥一郎は「いい子ならちゃんと出来るはずだよ」と言うばかり。
じっとしたまま動かなかった唯貴だったが、やがて決心したように目を閉じて体制を整えた。
「ううぅ…っ…」腰に力を入れ、苦しそうに喘ぐ。そうする事によって押し出されていく筆が内壁を動く感触に唯貴の分身がまた昂ぶり始める。
「そうそういい感じだ、でもまだ半分以上残っているよ、ユキ」
祥一郎が楽しそうに唯貴が筆を排出するのを観察している。
先程は失禁する場面を見られたばかりだというのに
今度はまるで排泄を見られているかのような己の姿に唯貴は恥辱で目をギュッと閉じながら少しでも早く筆を出してしまおうと何度もいきみ続けた。
「ぅうう…っ…っ…ぅぅ」唯貴の苦悶の声と共にコトリと筆が床に落ちる音がした。性根尽き果てたように前のめりに唯貴は倒れこんだ。
「よくやったねユキ。さぁ、ご褒美だよ」そう言って祥一郎は椅子から立ち上がり、
腰を突き出した姿勢ままの唯貴の後ろを指で慣らし、程なく祥一郎自身の昂ぶりを唯貴の中に貫いた。
「うぅ…うう…っ…」
祥一郎を受け入れ唯貴は身体を撓らせくぐもった声をあげ続けていたが、
祥一郎が「もう我慢できない…ユキの可愛い声が聞きたくて堪らない…」とボールギャグの紐を解いた。
ポトリと唯貴の口の自由を奪っていたものが落ち、解放された唯貴の口からは掠れた声が溢れ出る。
「…ん…ぁぁ…っ…」そんな唯貴の声を聞きながら祥一郎は拘束された唯貴の両手をしっかりと掴み腰を動かし抽送を始める。
「…ユ…キ…っ…」
「あぁ…んっ…っ…ぁ…」
部屋には二人の声だけが響き渡っていた。

シャワーを浴び、再び居間のソファーに腰掛けた唯貴に祥一郎が「ずっと口を開けていて喉が渇いただろう?」とアイスコーヒーを差し出してくれた。
しかし、先程の失禁のこともあってどうしたものかと戸惑っている唯貴に、祥一郎が笑いかける。
「大丈夫だよユキ。今度はちゃんとしたくなったらさせてあげる。さっきの事で充分判っただろう?」
祥一郎の言葉に「はい…」と頷き、唯貴は手渡されたアイスコーヒーをゆっくりと渇いた喉に流し込んだ。


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